NLDがスーチー氏を和平交渉に含めるよう強く要求し、ASEAN五項目合意をめぐる論争が続いている。一方、255のミャンマー市民社会団体がStarlinkの遮断により1300万人が通信不能に陥っていると警告し、SpaceXに緊急要請。ラカイン州では引き続き空爆被害が拡大しており、3号分まとめて本日配信する。
NLDは2020年11月総選挙で83%の議席を獲得しており、民主的正統性の観点では依然として圧倒的支持基盤を持つ。スーチー氏を排除した枠組みは「民主派が認める和平」にはなり得ないというのがNLDの論理であり、多くの国際社会もこの立場を支持している。スーチー氏の釈放なき和平は形式的な手続きに終わる可能性が高い。
軍政はスーチー氏に対して計33件の刑事訴追(35年判決)を維持しており、釈放の意思を示していない。ASEAN特使との面会も拒否し続けている。この状況下でNLDが「スーチー氏参加なし」の交渉を拒否することで、国際的な和平努力は事実上行き詰まりの様相を呈している。
日本政府は2025年以降、独自のミャンマー関与策を模索しており、スーチー氏の扱いは二国間関係の試金石となっている。建設業・BIM研修等でミャンマー人材を雇用する日系企業にとっても、民主化の見通しが送出し環境の安定性に直結する。NLDの強硬姿勢は解決の長期化を示唆しており、人材採用計画のリスク管理が必要となる。
ミャンマーでは2021年のクーデター以降、軍政が地上通信インフラの多くを掌握し、断続的なインターネット遮断を実施している。Starlinkのような衛星インターネットは軍政のコントロールを迂回できる唯一の手段として普及した。接続料金は1時間1000チャット(約0.23USD)程度で、紛争地の市民にも利用されていた。
報道によれば、遮断はサイバー詐欺拠点(スカム組織)へのStarlink供給を阻止するという理由で行われたとされる。しかし255団体は「一般市民・学生・医療機関への影響が甚大」と反論。米トランプ政権のミャンマー政策における対軍政・対技術企業の姿勢が今後の対応を左右する。
日本在住のミャンマー人労働者(約6万人超)の多くが現地家族との連絡手段としてStarlinkを通じた通話・SNSに依存している。遮断が長期化すれば家族安否確認ができなくなり、日本国内での精神的影響が深刻化する。建設業等でミャンマー人材を雇用する日本企業は、この状況を考慮した従業員支援体制の整備が求められる。
アラカン軍(AA)は2024年後半からラカイン州の主要都市を次々と制圧し、現在では州都シットウェを含む広範な地域を実質支配している。軍政は地上部隊での奪還が困難なため空爆に頼っているが、民間人被害が急増している。この戦闘激化がロヒンギャ問題とも複雑に絡み合っている。
民間居住区・学校・宗教施設への爆撃は国際人道法(ジュネーブ条約)の重大違反に当たる可能性がある。人権団体はICCへの付託および軍政幹部への個人責任追及を求めており、日本政府も国連の場での対応を問われる立場にある。
在日ラカイン系ミャンマー人は限られているが、日本のNGO・JICA関係者が支援活動を行ってきたラカイン州での被害拡大は、日本が関与する復興計画の全面見直しを迫るものである。また、ラカイン州は天然ガスパイプライン(ミャンマー・中国)の通過地域であり、エネルギー安全保障上の観点からも注目が必要だ。